長期保存も出来るたまねぎ!
数多く存在する野菜の中でもたまねぎの保存期間はトップクラスです。長期に保存できてどんな料理にでも使える万能選手で作るものとっても簡単です。長期保存に向く品種の選び方、長期保存の上手なやり方を含めたまねぎの育て方を紹介します!
栽培スケジュール
たまねぎには以下の3つの品種があり、それぞれ収穫時期が異なります。それぞれ特徴がありますので、特徴を確認してから苗を調達しましょう。
早めに夏野菜に移行したいなら早生種がおすすめ
たまねぎは春先が収穫時期ですが、ちょうど4月末から5月頭にかけて夏野菜の植え付けが始まります。たまねぎを植える場所と夏野菜を同じ場所で植えようと思っている場合、たまねぎが早めに収穫できないと夏野菜の植え付け時期が遅れることになります。
そこで、『早生種』と呼ばれる特徴を持った品種を選ぶことで早めに収穫して夏野菜に速やかに移行することが出来ます。早生種は3月~4月に収穫できてしまうので夏野菜の植え付け時期を逃がさず、ジャストタイミングで夏野菜に移行することが出来ます。
代表的な早生種のたまねぎは以下の通りです。
甘早果(あすか)
ポイント
- 極早生
- 収穫:3月中旬
- 長期保存:向かない
- 味:しっかりとした肉質、甘みが強く辛味が少ない
はや玉グルメ
ポイント
- 極早生
- 収穫:3月中旬
- 長期保存:向かない
- 味:しっかりとした肉質、甘みが強く辛味が少ない
サラダタマネギ
ポイント
- 極早生
- 収穫:4月下旬
- 長期保存:向かない
- 味:サラダ料理に最適
アサヒ
ポイント
- 極早生
- 収穫:3月下旬
- 長期保存:向かない
- 味:やわらかく甘い
ジェットスター
ポイント
- 早生種
- 収穫:4月下旬
- 長期保存:向かない
- 味:サクサクした食感
大量に作るなら長期保存できる品種を選ぼう
たまねぎは料理の適性が高く、使わない日は無いんじゃないかと思わせるほどの万能選手です。その為、たくさん作って長く出来るように調整された品種があります。これらの品種は収穫時期が比較的遅いので『中晩生種』、『晩生種』と呼ばれます。
中晩生種、晩生種は5月中旬~6月中旬の収穫時期が目安です。夏野菜の植え付け時期と重複してしまいますが、夏野菜を植え付ける場所を避けてたまねぎを植えるなどの工夫で対策することが可能です。
中晩生種、晩生種は長期保存が得意なのも特徴です。ちなみに私も毎年400個から500個のたまねぎを育てて夏の終りぐらいまで料理にフル活用しています。毎日使うものなので食費を助けるという意味でもすごく助かっています♪
代表的な中晩生種、晩生種は以下のとおりです。
ネオアース
ポイント
- 中晩生
- 収穫:6月上中旬
- 長期保存:9月中旬頃まで保存可能
- 味:大きな特徴はなし
つり玉パーフェクト
ポイント
- 中晩生
- 収穫:5月下旬
- 長期保存:翌年3月頃まで保存可能
- 味:辛味が少なく火を通せば深い甘み
レッドムーン(赤たまねぎ)
ポイント
- 中晩生
- 収穫:5月下旬
- 長期保存:12月頃まで保存可能
- 味:大きな特徴はなし
猩々赤
ポイント
- 中晩生
- 収穫:6月上旬
- 長期保存:9月末まで保存可能
- 味:ジューシーで甘い
もみじ3号
ポイント
- 中晩生
- 収穫:6月上旬
- 長期保存:9月末まで保存可能
- 味:やわらかくまろやか
湘南レッド(赤たまねぎ)
ポイント
- 晩生
- 収穫:6月上旬
- 長期保存:9月末まで保存可能
- 味:辛味が少なく甘い
道具の用意
培養土
たまねぎは特に特殊な培養土を必要としません。お好みの培養土を購入して大丈夫です。
化成肥料
たまねぎの実の部分は『葉のつけ』です。葉を育てる野菜は『リン』の成分が重要になります。たまねぎ専用の肥料はあまり売っていませんので、一般的な『8-8-8』の肥料を購入して次で紹介するヨウリンで調整するのがおすすめです。
ヨウリン
葉物野菜を大きく育てるには『リン』の成分が重要になってきます。化成肥料はすべての要素が当分でバランスされた『8-8-8』で調整されています。これにヨウリンをプラスすることで葉物野菜にぴったりな栄養配分にすることが出来ます。
穴開きマルチ
大量に植える場合、マルチの穴あけは結構大変です。はじめから穴が空いているマルチを用意すると時短になるので楽をしたい人にはうってつけです。ただし、間隔が固定されてしまうので予定した範囲に植えきれない可能性があります。
マルチ+穴あけ器
穴が空いていないマルチに自分の好きな間隔で穴を開けたい人は通常のマルチと穴あけ器がおすすめです。マルチなんて手で破れば?と思うかもしれませんが、マルチを手で破るとせっかく設置したマルチがズレてしまったり、穴が大きすぎたりして中々苦労します。穴が小さすぎると苗が風でマルチのしたに潜り込んでそのまま枯れてしまう可能性もあります。なので穴あけ器は一つ持っておくと便利ですよ。
ガーデングローブ
手荒れを防ぐためにも必ず装着しましょう。
ジョウロ
植え付け後の水やり用です。家庭菜園の基本道具ですね。
ホースリール
水道が近い場合、ジョウロの代わりにホースリールでもOKです。
熊手
冬の間に固くなった土をほぐすのに使用します。
土壌の準備
酸度調整
たまねぎが好む酸度
たまねぎはPH6.5から7前後でよく育ちます。
PHを調整しよう
酸度計を土壌のPHを測定し6.5より低い場合は調整が必要です。数値がラッキーにも該当値なら調整は不要ですぐ植え付けに進んでOKです。
PH調整に苦土石灰を撒こう
苦土石灰を撒いたら、よく耕し土壌に馴染ませます。よく園芸本で苦土石灰を撒いて1週間待たないと植え付けが出来ないと書かれていますが、私はいつも直後に植え付けて特に枯れたり生長が悪くなった事はありません。しっかり混ぜ込んで馴染ませれば即植え付けて問題ありません。
肥料散布
概ね以下の容量の肥料を散布します。散布できたら20cm程度の深さを意識して良く混ぜ込みましょう。
メモ
- 化成肥料 100g/m2程度(60cm×3mの畝なら180g、約6握り程度)
- ヨウリン 60g/m2程度(60cm×3mの畝なら108g、約4握り程度)
畝立て
畝の高さは20cm
たまねぎ根が浅いのでさほど高い畝を建てる必要はありません。20cm程度の高さがあれば十分です。
土を積み上げたら適当な棒で畝を均して20cm程度の高さにします。私の愛用品は雨水タンク取り付けで出た雨樋の端くれです(笑)少し幅広の方が作業効率が良いです。
畝はサイドもきっちり均して少し固めておくと雨風で崩れにくくなります。
条間、株間
条間(苗を植える列と列の間)は10cmから15cm程度、株間(苗と苗の間)も10cmから15cm程度開ければOKです。植えてみると結構密に感じますが十分育ちますので安心してください。条間と株間の間隔を参考にどの程度植えられるか計算してみましょう。
3m×60cmの畝なら、2条×28個=56個程度植え付ける事ができます。予めどの程度植えられるか確認してから苗を注文すると良いでしょう。
マルチ張り
畝が出来上がったらマルチを張ります。
マルチの効果
マルチは雑草を防ぐ効果と保温効果があり、春先に大量に生えてくる雑草を防ぎつつ、保温効果でたまねぎの生長を助けてくれます。
マルチの張り方
畝の端に端っこをレンガや鉢などで押さえ、畝の上に真っ直ぐ伸ばします。畝の反対側まで伸ばせたら畝より少し長めにマルチをカットします。マルチの端を畝の下に埋め込んで、その上に更に土をかけます。コツはマルチがピンと張るようにすること。弛みがあると風を巻き込んでしまい、強風が吹くと飛ばされてしまいます。ピンと張る事で風が入る隙間をなくして飛ばされにくくすることが出来ます。
穴あけ
マルチが張れたら、たまねぎを植える穴を空けましょう。マルチの上から穴あけ器で均等に穴を空けていきましょう。指で小さな穴を空けても植えることは出来ますが、その後の肥料やりや土壌を柔らかくする中耕がやりにくくなります。5cmから8cm程度の穴を開けてあげましょう。
植え付け
マルチに空いた穴へ苗を植え付けていきます。
生長点に注意
玉ねぎは根元の白い部分と緑の部分の境目が成長生長点です。この部分が土に埋まると生育が悪くなります。植える時は生長点が土から出ている様に調整しましょう。
穴を開けて植える
指の第二関節(5cm程度)の穴を開けて苗を差し込み、土で固定してあげます。
根元が立つ様に植える
コツは根元が横倒しにならずにピンとしっかり立っている状態にしてあげる事です。こうする事で生長が阻害されず大きく育ちます。
水をたっぷり与える
根がしっかり張れる様に水を多めに与えて土を柔らかくしてあげます。必ずシャワーなど目が細かいモードにして優しくかけましょう。散水などの水滴が大きいモードだと畝が崩れる恐れがあります。
追肥①・中耕
たまねぎは大きくなるために、表面の土を押しのける必要があります。しかし、冬の間に土が固く締まってしまいまっす。そうなるとたまねぎが大きく育つことが出来ません。そこで、熊手で表面の土をほどいてやる事で、生長しやすい土に変えてやることが出来ます。
肥料は1株に指先で1掴み程度
マルチをかけていると肥料がすごく撒きにくいと思います。上からふりかけてもマルチに阻まれて与えたことになりません。そこで、マルチありのたまねぎの場合、1株ごと、根本に指先ひとつかみ程度を目安に撒いていくと良いです。
追肥②・中耕
2回目の中耕と追肥は1回目と全く同じです。
害虫対策
たまねぎはほとんど虫害を受けません。可能性があるのはアブラムシで、万が一付着した場合はマラソン乳剤で退治しましょう。
収穫
早生種、中晩生種、晩生種により収穫時期は異なります。
ただ、それぞれの収穫時期はあくまで目安で、実際にはたまねぎの葉を見て収穫時期を判断します。
葉が倒れていること
たまねぎは成熟するとピンと立っていた歯が倒れる性質があります。大半の葉が倒れていたら収穫適期です。
春一番に惑わされないようにしよう
注意して欲しいのは、春先は春一番など強い風吹きます。葉が成熟ではなく風で倒れる場合もありますので、予定より早く葉が倒れた場合は、予定時期までそのまま育てる事をお勧めします。
抜くのを遅らせると大きく育つ
夏野菜を植える予定が無い、または遅らせられる場合は葉が倒れても、暫くそのまま育てる事で更に大きなたまねぎに育てる事が出来ます。基本的に葉が枯れ始めるまでは肥大を続けるので、抜きたい所をグッと我慢するのが大事です。
晴れが続いて地面が乾いてから収穫する
楽しみな収穫は、数日晴れて地面が乾燥しているタイミングを狙いましょう。土が濡れていると摩擦が強く抜き取る際に擦れて傷つくと害虫つきやすくなります。傷つくと長期保存出来なくなるので土が乾燥しているタイミングを狙いましょう。
保存法
湿気が苦手
たまねぎ保存の基本は乾燥です。段ボールなどに詰めてしまうと湿気が溜まり、早々に腐ってしまいます。
小分けと宙吊り
物干し場や、べランドに物干し台を用意し、ネットに小分けにして宙吊りにします。こうする事で湿気がこもらずたまねぎが痛まなくなります。
長期保存できるのが魅力
品種にもよりますが、中晩成種なら9月頃、晩成種なら翌年の2月頃まで保管できます。
大量に作っておけば、保存所から好きなだけたまねぎを取り出す事が出来ます!たまねぎは料理の万能選手なので家計にも料理にも大活躍ですよ!初心者から上級者まで、誰にでもおすすめの野菜です!
たまねぎ栽培はとってもかんたんなので、是非あなたもチャレンジしてみてくださいね!